いとうせいこう/職人ワザ!

職人ワザ! (新潮文庫)

職人ワザ! (新潮文庫)

これは良い本!いとうせいこう先生がいろんな種類の職人さんたちにインタビューした内容をまとめたもの。
一人目の扇子職人の方のお話からもう、心躍ってしまったよ。コンパス(職人さんは『ブン回し』と呼ぶらしい)を使っての、和柄の青海波や麻の葉の描き方の説明を読んで、あたしもやってみたい!とコンパス購入に100均へ走ってしまったほどだ。
他にもいろんな職人さんたちの、一筋に仕事に取り組んできたゆえの含蓄ある言葉や、生き字引のような人たちゆえの薀蓄が満載。
個人的には銀細工の彫師の方の「削りの作業の15〜6時間のうち10時間くらいは物を手にしたままうだうだしていて、そうしてるうちになんか見えてきたらガーっと集中して一気に作り上げる」と言う話はなんか感覚的に良くわかった。私も仕事でちょっと複雑なシステムを作るとき、そんな感じなのだ。あ、見えた!となるまで、大体最初の数日は、どうやんだろうなーと設計書を眺め回してうだうだしているだけだったりすることは、職場の人々には秘密だ。