R.P.ファインマン/ご冗談でしょう、ファインマンさん

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ノーベル賞物理学者のリチャード・P・ファインマンの自叙伝。
アマゾンの書評などでも大絶賛のこの本、確かに面白かったです。よくもまあ一人の人間がここまで色々な事件を起こせるものだというほどに、次から次へと色んなエピソードが出てきます。それもこれもファインマンの好奇心の強さゆえ。
しかしこのファインマン、あのマンハッタン計画に関わっていた科学者で、ロスアラモス(原爆開発の本拠地)でのエピソードもたくさん描かれています。ここでもいろいろ面白い事件を巻き起こしていますが、これは私はあまり単純に楽しめないなと思いました。科学者は純粋に科学を楽しんでいただけかもしれないけれど、その結果の先には多大なる犠牲者たちが存在していると思うと空恐ろしい感じが否めない。ただ、「ああ、こういう状況下で原爆は開発されていったんだな」と言う様子が少し窺い知ることができます。
とは言っても、それを除けば、科学者の科学にかける気持ちが描かれているとともに、人生を楽しむ先輩の書といった感じで、楽しく読める本でした。学校推薦図書に選ばれたりしているのも、さもありなん。中高生くらいが読むといい刺激になると思います。
しかしこの本、なんで文庫で1100円もするんだ・・・。上下合わせて2300円て、文庫なのに高過ぎですよ。