海堂尊/死因不明社会

死因不明社会―Aiが拓く新しい医療 (ブルーバックス)

死因不明社会―Aiが拓く新しい医療 (ブルーバックス)

先日読んだ「チームバチスタの栄光」の作者が書いたブルーバックス本。元医者の作家さんなのかと思っていたら、現役のお医者さんだそうで。なんてバイタリティのある人でしょう。小説の中でも描かれてましたが、病理医の立場から解剖を含めた死亡時医学検索の重要性を切々と訴えています。小説はさほど好きじゃなかったけど、解剖の重要性を浸透させるために小説という手段を選んだのならちょっとすごいなと思ってこの本を購入。正直言うと、読み終えても私にはその重要性がピンと来てないのは医学の現場をわかっていないからかと思いますが、ホスピスで死んだ患者には死亡時医学検索が必要だというのは非常に納得。確かに、積極治療を行わないことが許されてる現場で、監視システムは必要だろうと思います。でも正直、一般人には死因てよほどの異常死でなかったら重要性を感じにくいので、なかなか同意しにくいところも多かった。うちの父は癌で亡くなりましたが、その最期が「心転移による循環不全」でも「肺転移による呼吸不全」でも『もう死んでしまった』という事実の前にはどうでもいいことに感じたと思いますから。医学的には重要なことで、そういうことを積み重ねて進歩してきたんだというのはよく分かるんですけどね。なかなか、道は険しいかもしれないなと感じました。でも、「チームバチスタの栄光」はベストセラーになって映画化も決まったみたいですし世間では認知度が上がってきているわけで。どうなるでしょうね、今後。
しかし、厚生労働省はおそらく本当にひどいんだろうなというのは想像がつく気はするんですが、本作中でのこき下ろし方がすごいです。よほど普段からいやな目にあってると想像が・・・。