ザ・ムーン

 http://themoon.asmik-ace.co.jp/

これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。
That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind.

前々から楽しみにしていた映画「ザ・ムーン」が公開されたので、いそいそと見に行ってきた。内容は、現在までに月に降り立った宇宙飛行士たちへのインタビューと当時の実際の映像を交えた人類の月面着陸までのドキュメンタリー。
1960年代。今世紀中に月へ人類を送り込むのだというケネディ大統領の演説のもと、アポロ計画が発動された。犠牲者を出しながらも、1969年、ついに人類は月へと降り立った。。。
貴重な映像がたくさん見られるという意味で、面白い映画でしたよ。私は月面に降り立った第一歩を初めて見たような気がする。あのさ、よく梯子からピョンて飛び降りる映像がTVとかで使われるけど、あれ、月面に降りた二人目バズ・オルドリンの映像だったよ。一人目のアームストロングの方の映像は、宇宙船から撮っているから月面に足を着ける様子はよく観えません。そりゃそうだよなぁ。しかもオルドリンは月面に降り立つ直前に、梯子の上で小をしていたらしいよ(笑)
実際に月へ降り立った宇宙飛行士たちへのインタビューも貴重で興味深かった。どういう理由か知りませんが、アームストロングはインタビューに参加していなくて残念でしたが。よく宇宙一孤独な男と言われる、人類初月面着陸の瞬間に一人月の周りを宇宙船で周回していたコリンズは、私のイメージと違って随分愉快そうな人でした。宇宙から帰還して宗教的というか霊的というか、そんな発言をする人が多かったことも興味深い。「宇宙も地球も私の細胞も、すべて原始では一つだったんだということを、感じたんだ」「毎日、地球に生まれたことに幸せを感じている」「地球はこの広大な宇宙という砂漠に浮かぶオアシスだったんだ」そんな思いを抱くほど、宇宙は人間にとって衝撃的な空間だということか。
映画としては、「人類が成し遂げた偉業。そして、地球の素晴らしさを再認識」というような構成になってましたが、そもそもこの計画の発端はアメリカ国家とソ連との宇宙空間の軍事的覇権合戦という意味があったわけで、そんなに美化してるのもどうなのかねという思いと、この瞬間を私も味わいたかったなという思いと、正直どっちも感じたよ。月から帰ったアームストロング達が凱旋世界旅行をした際に、どこに行っても、「アメリカはついにやりましたね」ではなく、「我々はついにやりましたね」とみんなが口にした。どこの国の人たちもが「我々は」という言葉を使ったんだそうだ。そんな瞬間、私も体験してみたかったな。でも、この映画の製作にも係わっているロン・ハワードが監督した『アポロ13』の中で「もう月面到着しても誰も興味なんか持たない」的な台詞があったことを考えると、人間てほんと飽きっぽくて勝手だというのが現実ですけども。
あとどうでもいい感想だけど、月の上に立っている宇宙飛行士たちはASIMOにしか見えないし、歩く姿は遊んでいるようにしか見えないよ。

(3本目 ★★☆☆☆
===


映画を観ている間の私の脳内BGM。R.E.Mの『MAN ON THE MOON』。素敵。