田村裕/ホームレス中学生

ホームレス中学生

ホームレス中学生

あまりに売れているので天邪鬼な私としてはあんまり手に取りたくない一冊だったのですが、でもやっぱり何がそんなに売れてるのか気になるわけで。すでに説明不要なくらい有名な話になってますが、父親の「解散!」という言葉を最後に家族が離散。父親とは生き別れ、兄弟三人で生きてきたというお話し。その経験もすごいですが、著者田村の謙虚な心構えと言うか感謝を忘れない心と言うかが、私にとっては驚異的です。この環境でよくぞそんなにいいヤツに・・・。困ったときに都度いい出会いをして助けられてきているみたいなので、そういう経験が彼の人格に影響してるんだとは思いますが、でも解散となったときに中学生が「兄と姉に迷惑をかけないために一人で生活する」道を選んでますからね。もともとほんとに、まず人のことを考えるんだろうなあ。その稀有な経験も興味をそそるとともに、彼のそういう人柄が伝わってきて読んでいて心地よいのだと思います。こりゃ強いな。